両親共に鎌倉で産まれ育ちました。が、祖父母は東京の人。東京の家が戦争で焼けてしまったため、鎌倉の夏の家に居を移してからはや60年。母方の祖母の家はまだまだ健在です。
曽祖父が建築家だったので自分で設計した家なのですが、明治建築の和と洋が混じった小さな小さな洋館です。もう100年はたつでしょうか。
元旦に遊びにいったら随分と古くなっていました。毎年手を入れてはいるものの、だいぶがたがきています。
が、土台はしっかりしていて、梁は丈夫だし、なにしろやたらと高い天井のこの家を私はとても気に入っています。
窓からは海が少しだけ見えて、庭は小さいけれど祖母が手をかけた季節ごとの花が咲き、車の音は全く聞こえないこの家がもしも私がもう少し稼げるようになったら、家ごと買い取りたいと思っています。
ただそんなことを祖母の前で言うと、家の手入れに気合を入れすぎて倒れてしまうため、このことは内緒です。
100年の歴史を見てきたこの家を私が手入れしながら暮らすことを許されるような人間になるまで、家族には内緒なのです。
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