moroさんのエントリーで郵政民営化による簡保のお金の行き先、そして米国が日本に要求するであろう保険業界への参入障壁撤廃について提言されていた。
保険は業界の人以外には理解が困難な商品である。これほどまでに難しい商品もそうそうあるまい。
理解が困難なゆえに大抵の人は大して納得もせずに買ってしまう。それこそ加賀谷くんが指摘した「人は納得して買う時、すごく満足をするのだ」からほど遠い状況になっているのが現実である。(何十年にもわたし、数千万円という保険料を支払う、住宅の次に高い買い物であるにも関わらず、契約者は大して納得もせずに購入を決めているのが現状。)
私が今現在、勤務しているソニー生命はこの保険購買の状況にアンチテーゼを投げかけて設立された会社である。
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話を戻そう。
郵政民営化つまり簡易保険の民営化(今は、簡易保険は民間生命保険企業ではなく、なんと、国による社会保障制度的の扱い、国による生命保険の提供なのだ。よって、我々保険屋が縛られている保険業法のしめつけを全く受けない。ま、簡易生命保険法があるが。)が何を意味するのか、その影響はどのようなものなのか。
1)郵政民営化されると簡易保険が有する巨額の契約(=保険料)が市場に流れ込むのか?
(仮説)民営化された簡易保険が有する巨額の保険料が市場で流動化するためには契約者の強い「解約」意思もしくは「保険見直し」意思が必要である。
現在、簡易保険の営業手法は大きく分けて2種類。
一つには、地域密着型の外交員による営業。これは「4丁目の鈴木さんところ赤ちゃん産まれたらしいわよ」的な情報を八百屋で聞き、そく営業に行く・・・というスタイルに代表される。
この営業スタイルの場合、契約は解約されにくい。外交員Aさんは地域に密着しているため契約対象者は外交員に警戒心を抱きにくいし、外交員のAさんは地域では面倒見のよいという評判なので契約を解約するのは悪い気がする・・・という具合である。
二つには、近親者による口コミ。両親が「あなたも社会人になったのだから簡保くらい入っておきなさい。」というやつだ。
これもまた解約されにくい。近親者に反発して気持ちを害してまで解約する家庭がそれほど多いとは思いにくい。
・・・と、これらを考えると、簡易保険の民営化=大半が解約=巨額の保険料が市場で流動化の図式は成り立ちにくい。
まして、保険の見直し意向が高まりつつある現在では、外交員による営業スタイルで財を成してきた国内生保大手でさえも契約保全のためにOB外交員を利用している状況である。簡易保険の強みは「地域密着型営業」なのだから、全力をかけて契約保全をしかけてくると思われる。
ただし、ここで考慮すべきなのは消費者である契約者の世代価値観や購買行動の変化だ。近親者や地域密着型の外交員にとらわれず、合理的に判断する消費者が20代、30代をメインに増えていると仮定した場合、上記の図式は成立するように思われる。
また、インターネットの普及によりこれまでより格段に充実した情報を手にいれることができるようになったため、消費者の購買行動は主体的かつ冷静、合理的に変化している。つまり、これまで難解なので理解することすらあきらめてきた生命保険という商品に真っ向から向かい合う術(情報)を身につけた消費者は、「自分に合った(最適化された)生命保険」を求めて市場をさまようことになる。
いわゆる「合理的消費者」がどの程度いるのか、がキードライバーである。
(↓以下は忘れぬうちのメモ。時間のある時に書きます。)
2)郵政民営化の時期を目指して外資保険企業への参入障壁を撤廃することが外資保険企業にとって得策なのか?
3)上記(2)の状況になったとき、消費者のメリットとデメリットはどのようなものなのか?
4)上記(1)(2)の状況のとき、保険業界の環境はどのように変化しているのか?
(と、この後、当然考えるべきことは、当社がどのようにこの環境変化に対応していくのか、であるが・・・ここは社内で検討しよう。)
上記4点。いい機会なので考えてみることにする。
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