青山一丁目のオフィスのほど近くにある「さび助」は夜に行ったことはあるけれど、昼食を取る気にはなれずにいた。
行ったのはずいぶん前だったが、ゆったりと食事したことを覚えている。たしかシジミの話をしたような。
金曜日。
食欲がまったく出ず気持ち悪くなり、でもご飯をたべなければと同僚に連れ出された。
入るつもりはなかったのに、ずいぶん前に行った時のことを余裕を持って懐かしむことが出来る気がして再び「さび助」に入り、初めて昼食をとる。
1300円の定食は昼にはちょっと贅沢だけれど、今日の体調では心と体に美味しいものしか受け付けそうもなかったので。
定食の内容はタコと油揚げの炊き込みご飯、煮物(南瓜、ごぼう、人参、高野豆腐、こんにゃくなどがそれぞれ別々に煮含められていて、丁寧な仕上がりだ)、厚焼き玉子、ままかりの揚げ物、漬物、そしてシジミの味噌汁。
食事を待つ間、お店のご主人が備前焼の説明をしてくださった。江戸や桃山に焼かれたそれは、素晴らしい色合いでこれで日本酒を飲んだら最高に美味しいだろうな・・・と思いつつ湯のみを手に取れば、釉薬をかけていないのにざらつきを全く感じさせない、まるで赤ちゃんの肌のような滑らかさ。
「備前は土がいいんです。きめが細かいの。」
食事を終えてその湯のみでほうじ茶をいただく頃には少し落ち着いていた。
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